ここでは校正作業の効率化のためにどのような方法があるか、その種類とそれぞれの違いについて解説します。
もともと校正は紙ベースで行うことが基本でした。書籍やパンフレットなどの媒体の多くは紙の印刷物だったからです。ところがインターネットの普及により近年は制作する側も読む側も変化しました。デジタル化・電子化が進む中で、紙だけでなくメールを使った校正やオンライン校正システムによる校正など利用拡大しています。
従来からある校正の方法です。校正紙を使って対面して打ち合わせなどが行われるため、微妙なニュアンスも伝わりやすく、プリントアウトしたものを直接確認できるので色調なども確認しやすいのがメリットです。人を介した物理的移動があるのでタイムラグが生じ、社内での共有がしにくく、紛失リスクや管理がしにくいのがデメリットです。
紙による校正の最大のメリットは、実際に担当者と会うことで微妙なニュアンスも伝わりやすいことでしょう。もちろんメールなどでも伝えられますが、実際に会えばディスカッションもしやすくなり、言葉とジェスチャーを使えるため伝わりやすくなります。また紙に慣れている方であれば、紙での校正がしやすいと思う方も多いかもしれません。
一般的に優秀なスタッフほど忙しく、どうしても校正紙が届くのに日数を要してしまい、タイムラグが発生しやすくなるでしょう。また状況によっては複数の人が校正に携わるケースもあり、スタッフ同士での校正内容の共有が難しいケースもあります。どのように社内で共有させるかは、紙による校正の最大のデメリットと言えるでしょう。さらに新型コロナウイルスなどの感染リスクが直接会うことで高まるなど、感染症対策がしにくいという点もデメリットのひとつです。
校正データをメールで送ってもらい、修正指示や赤入れしたものを返すという方法です。物理的な移動がないのでやりとりの時間短縮の効果があり、メールの同時配信により共有がしやすいのがメリットです。ファイル容量が大きいとメールが送れずストレージサービスなど手間がかかるのとデータ管理が複雑化するのがデメリットです。
インターネットが普及したことによって、校正作業にメールでのやり取りを行う企業も多くなっています。メールであれば移動時間もないため、校正作業は比較的スムーズになるでしょう。また社内での共有も簡単に行えるのは、大きなメリットといえます。
多くの人が普段からメールを利用しているため、使い勝手のいいツールと言えます。しかしメールで届いたPDFを一度プリントし、修正を加え、それをスキャンしたのちに再びPDF化してメールで添付するなどの工程が必要となります。こういった手間は忙しい業務の中で行う場合、大きな負担となりかねません。この工程を効率化できるかどうかが、メールによる校正の重要なポイントとなるでしょう。
もしPDFに直接書き込むことができるツールがあれば、プリントアウトの工程も不要になるので業務の効率化が図れます。また色の違いによるトラブルは、メールベースだと起こりやすいので注意が必要です。プリンターを統一する、または色に関しての工程だけは直接会うなどの工夫が必要になります。
またデータの管理には注意が必要です。最新のデータが分からなくなってしまえば、メールで校正を行うメリットがなくなります。むしろ余計な手間がかかることもあるので、データ管理に不慣れな方に対しては適切に管理できるようなフォロー体制を構築するようにしましょう。
オンライン上で校正作業を行い修正指示や赤入れなどがすべてシステム内で完結します。ネット環境があればどこでも使えてユーザー設定すれば社内だけでなく社外スタッフも利用が可能。校正業務全体を一元管理でき共有もしやすいのがメリット。機能についての理解が必要で目的に合わないものを選ぶと活用されないのがデメリットです。
校正作業を効率的に行いたいのであれば、オンライン校正システムは効率化をかなえるひとつの方法となりえるでしょう。オンラインであれば複数のスタッフが情報共有しやすくなり、修正作業も場所・時間を選びません。出張先や外出先でも校正作業が行えるのはオンライン校正の大きなメリットです。
オンライン校正を行う最大のデメリットは、オンラインのツールを使いこなせるかどうかです。パソコン上で校正作業のほとんどを行うため、パソコンに触ったこともないような人であれば使いこなすのはハードルが高いかもしれません。
またパソコンが苦手と感じている方であれば、そもそも使おうとしない可能性もあります。デジタルトランスフォーメーションが推奨されていますが、紙ベースが一番と考えている方も少なくないため、そういった方にオンライン校正をどう使ってもらうのかは一番の問題となるでしょう。ただオンライン校正ツールにも様々な種類があり、ワードがある程度使える方であれば基本的に問題なく作業できるケースがほとんどです。
またメールでの校正と同様に、オンライン校正も色の問題は発生しやすくなります。そのためプリンターを統一するといった対応は必要となるでしょう。さらにシステムを導入するためのコストがかかるなどのデメリットと言えます。
業務の効率化を図りたいのであれば、オンライン校正はひとつの手段として有用ですが、デメリットも踏まえて、オンライン校正を導入するか検討しましょう。
校正を効率化するためには作業ベースでは校正支援ソフトや自動組版でスピードアップすることが可能ですが、管理ベースではさらに根本的解決が必要です。小規模の場合で問題は起きませんが、関わる人数が多くなると管理不能に陥ります。その意味では、全体を見渡すことができるオンライン校正は重要な選択になります。
※2022年4月時点公式HPより
2022年4月時点にgoogleで「オンライン校正」で検索して公式サイトが表示される校正ツールをピックアップ。オンライン校正ツールを提供している会社の中から3社選定しました。
Brushup タブレットでの手書き校正に対応し、2017年度グッドデザイン賞※を受賞したオンライン校正ツールを提供。導入数が最多の10,700社以上。※参照元:日本デザイン振興会HP(https://www.g-mark.org/award/describe/45924)
TOPPAN PRINT ONLINE 25社の中でカラーマネジメント機能を搭載したオンライン校正ツールを提供。
Aproove 25社の中で校正機能とワークフローオートメーション機能を搭載したオンライン校正ツールを提供。